宮城の企業からBCP(事業継続)の実例を学ぶ

シオ

2012年02月06日 08:38

先週末に浜松グランドホテルで「ふじのくにBCPシンポジウム」が
開催されていました。

津波の被害が大きかった、宮城県名取市にある廃油処理業の方が
実際に経験したBCP(事業継続)の運用について発表されました。

書籍や研究者のセミナーで学ぶ知識とはまた違い、臨場感があり
とても勉強になる内容でしたのでご紹介させていただきます。

私が印象に残った、この企業の優れた点を列挙します。


1.2009年からBCPの重要性を感じ、専門家に相談をしていた。

2.2010年~2011年の被災直前までに、社内のBCP策定作業
  を進めていた。

3.策定しておいたBCPのポイント

  ①注文が多く、収益性の高い事業を二つに絞っておいた

  ②現預金(3ヶ月分の運転資金)を確保しておいた

  ③情報収集の方法を想定しておいた

4.地震発生。施設は甚大な被害をうけた

  ①当日・・・社員の安全を最優先し、高いところに避難して被害なし

  ②翌日・・・協力会社、関係企業の安否確認

  ③週明け・・・対策本部を設置し復旧方針・計画(1年がかり)を決めた

5.復旧の方針

  ①二次災害(火災、環境汚染)の防止
     →津波でさらわれ放置された廃油等をボランティアで回収した

  ②顧客の生産計画への影響を最小化
     →自力で(社員の足を使って)会社の処理設備を復旧した
     →市内の同業3社で共同受注体制を構築した
     →顧客名簿をお互いに交換し、エリア分けを効率化した

  ③社員の生活確保

     →通勤車両を購入した
     →仮住居の手配をした

6.業績の回復

  ◎被災から3ヶ月後には、被災前の水準まで売上を回復した。

  ◎昨年末には、社員に特別ボーナスを支給した。

7.何が良かったのか?

  ◎残す業務の選択が良かった

  ◎情報システムが使用できた

  ◎協力会社との連携がとれた

  ◎インターネットで被害と復旧状況を発信した


どうでしょうか。
私が強く感じたのは、日頃からいざという時のために現金を確保しておくこと。
自社の存在価値(何があるからこそお客様から支持されているのか)を意識する。
そして、社員さんと協力者を大切にし、日頃からコミュニケーションを欠かさない。
このことが、ピンチに強い企業であるということでした。
同時に、平時においても成長する企業であると思います。


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